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根管治療は、以前にもお話させていただいたように一番最初の「神経を取る治療」が一番大事です。この治療が、本当に上手くいけばその後は、長期的にも維持していけることが多いです。
しかし、
その一番最初の「神経を取る治療」が不十分で立った場合や根管治療を行う環境が悪かった場合(ラバーダム防湿なし)は、再発のリスクが高まります。その結果、治療から数か月~数年経った後に痛みや腫れなどの症状が発現し、再治療を強いられることが多々あります。
2回目、3回目の根管治療となると1回目とは状況がかなり変わり、治療成績も落ちてきます(一般的に10%は下がると言われています)ので、このことからも1回目がいかに重要かということが分かると思います。
そうは言っても、2回目、3回目・・・となった時には可能性が無いわけではありませんので、先ずはその時その時にベストな治療を受けることが必要だと思います。
その治療の選択においては、状況に応じて我々歯科医師は、「外科的歯内療法」という外科治療を選択することもあります。
通常の根管治療は、歯の根の中の神経の通り道を可能な限りキレイにする治療ですが、病気の広がりや根管の状況により根の外側からトライしないといけないような場合にこの外科治療を選択します。
外科的歯内療法
以下のイラストを参考に
1.歯肉に切開を入れます。この時、手術後切開したところが目立たないようにするために、眼科用の薄くて鋭いメスを使ったり、切開の仕方も目立たない形で行います。
2.切開して歯肉を剥離した後、根の先の病巣を除去します(キレイに徹底的に)。
3.根の先を確認した後、根の先3mmをカットします。
4.カットした面を特殊な染色液で確認した後、そこに窩洞を形成(穴掘り)して、MTAという特殊な材料で、封鎖します。
5.最後に歯肉を戻して、隙間なく緊密に縫合して終了となります。
その後は、組織の治癒・再生の経過を追うことになりますが、この外科治療で救える歯も多くあります。
根の病気=抜歯 という考えは、まだまだドクターも患者さんも多くの方がお持ちの考え方ですが、実はそうでもありません。
ご自身の歯を何とか残したいとお考えの方にはこのような方法もあります。ただし、全ての歯、患者さんに適応ではありませんので、一度詳しい診査を受けて下さいね。
では、多くの患者さんが歯で悩まれることなく、笑顔に溢れ、お食事も楽しめることを願っています。
では、皆さん今日も良い一日を!