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患者さんから良く聞かれるのは、「この歯を治療してあと何年持ちますか?」ということ。歯医者さんなら1度は経験があるのではないかと思います。
1度治療した歯は、全く治療をしていない天然の歯と比べればやはりリスクはあります。さらに神経を取る治療をした歯、さらに再発、再再発を起こした歯は、その程度によりリスクの程度は上がってきます。
しかし、じゃあ虫歯になったら、歯周病になったら即抜歯なのかといえばそういう訳でもありません(50年前はそうだったかもしれませんが・・・)。
やるべきことは、しっかりとした診査・診断を受けてその治療法や類似症例の説明を受けて、治療を行う先生の治療成績などから患者さん自身が、治療を選択するか判断することです。
先生:「虫歯が深いので神経抜きますね」
患者:「は、はい・・・」
という会話は、よっぽどの信頼関係が出来ているならばよいのかもしれませんが、普通は成り立たないと思います。
なので、患者さんは先生とよく話をしましょう。そうすれば、患者さんも良い選択が出来ると思います。
今回の症例は、難しい治療であることを説明し、いろいろ相談した結果治療を行い、現在良好な経過をたどっている患者さんです。
治療器具の折れ残りが2本&根っこの股際にトラブルあり&骨吸収(骨が溶けています)
状況は、かなり悪いことを説明しながらもチャレンジしてみる価値はあることを説明しました。類似症例もお見せしながらイメージしていただきました。患者さんは、「何とか残したい。ベストを尽くしてそれでダメであればあきらめがつく。」と仰ったので、治療に入ることにしました。
先ずは、破折ファイルの除去です。
えんや~こら~とがんばりまして、無事に取ることができました。
次は、分岐部(股際)です、予想通り大穴があいていましたが、洗浄を繰り返すことで、fistel(歯肉に出来た膿の袋)も改善してきたので、特殊な材料でしっかり封鎖をしました。
その後、3ヶ月ほど経過を見まして、経過良好でしたので最終的なかぶせ物に移行しました。
今回は、定期検診でいらっしゃいまして、4年後のチェックとなりました。
完全な骨の再生とはなっていませんが、現在のところ症状もなく快適に過ごせているそうです。
患者さんと初診時のお話をしまして、「あきらめなくて良かった!」と言っていただいたのがなりより嬉しく、私自身もあきらめなくて良かったと思わされました。
この歯の経過は、今のところ良好です。あと何年持ちますかと言われればやはりわかりませんとしかお答えできませんが、これがベストを尽くした結果だと思います。
全ての歯を根管治療で救える訳ではありませんが、多くの可能性を秘めているのも事実ですので、もし根の病気で悩まれている方は一度ご相談ください。
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