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根管治療は難しいのです!
お久しぶりです。根管治療ブログが1ヶ月に1回の更新になってしまいました。申し訳ございません。患者さんに有益で正しい情報を思っているとなかなか更新できないでいました。今後は、もう少しフランクに身近に感じていただけるように考えながら更新の回数も増やしていきたいと思います。
今回は、根管治療の難しさについて。
今までも根管治療の問題点や成功させるに必要なことをいくつかお話させていただきました。隔壁とラバーダム防湿について、歯科の保険制度について、歯科の教育についてなどなどいろいろお話させていただきましたが・・・。
今回は、教育とも重なる歯の解剖について。
歯の神経を取る、根の病気の治療をする、再治療をするというのが概ね根管治療になります。その根管治療はどのように行っているかというと歯の根の中にある根管(神経の通り道)の形を出来るだけ壊さないようにしながら神経を取るや細菌感染を徹底的に取り除く処置を行っています。
その時に大事になってくるのが、根管の解剖学です。根管の走行は二つとして同じものがないというように複雑で迷路のようになっています。例えば、上の奥から3番目の歯(親知らずから数えて)は、私が学生の時は根管の数は3本でまれに4本あると教わりましたが、現在は4本ある確率が60%以上(文献により数値は様々)と正反対であることが分かっています。
しかし、このように60%以上あると分かっていてもマイクロスコープ(顕微鏡)を治療に用いていない先生の場合は、ほとんど4番目の根管を見つけることは出来ません。なぜならば、概ね見つけることが出来る3本と4本目では、発現する深さと位置が全く違います。なので、見えないところで闇雲に削っても4番目の根管が必ずしも見つかるとは限りません。むしろ健康な歯を削ることがほとんどですので、歯の耐久性を阻害したり、歯の保存そのものを脅かす重大な大穴を開けてしまうことをしばしばです。なので、マイクロスコープ無しにこの歯を根管治療すること自体が無茶・無謀かもしれません。私自身、現在の知識と技術を持った状態でマイクロスコープを使用しないでこの歯を根管治療しろと言われれば、正直“無理だ断る”と言うと思います。
そうは言っても日本全国多くの先生が根管治療をしているじゃないか!と言うかもしれませんが、以下の結果から分かるように必要以上に治療をしてその大半が失敗しているという現実があります。
平成24年6月のデータ
抜髄:614,986本
感染根管処置:750,177本←(大半を再治療と判断したものとする)
総数:1,365,163本
12倍すると1年間で、16,381,956本根管治療が行われて約900万本が失敗し再治療になっているというのが分かります。
皆さんはこの数字を目の当たりにしてもとりあえず根管治療をしてくれと目の前の歯医者さんに言えますか?
最初に述べた「根管治療の難しさ」に話を戻すと今回スポットを当てた上記の内容だけでも「難しい!」というのがご理解いただけたのではないでしょうか。ご理解いただいた上で、どこの歯医者でどのような治療を受けるか、結果に偶然を求めるのか必然を求めるのかを選択するのは、患者さんご自身です。最良の選択をしていただけることを私自身切に願っております。
では、今日も一日皆さんが最良の日でありますように。また私も充実診療で皆さんに笑顔が届けられますようにがんばりたいと思います。
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