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当クリニックに根管治療を目的に来院される患者さんの約90%は、以前他院で根管治療をした後病気が再発した方や現在進行形で治療を行っているが、症状が良くならないと仰る方々です。
いわゆるやり直しの治療・・・。
根管内(神経管の中)のバイキン感染の問題であったり、治療の繰り返しにより根管の形が壊れてしまったり、根管とは違うところに穴を開けてしまったりと治療が上手くいかないのにはいろいろと理由があることがわかります。
その中の一つに「ファイルフラクチャー(治療器具の破折)」があります。
治療に使うこのような器具は、その扱いによっては先端2~3mmぐらいが折れて根管内に残ってしまうことがあります。金属の器具なので、折れるのはしょうがないとしてもその折れた周辺やその先の根管内にバイキン感染があるとなると話は変わってきます。バイキン感染を取り除くことが根管治療の目的でありますので、その目的を達成することが出来なくなります。
なので、我々顕微鏡歯科医は、そのような状況であれば太さ1mmにも満たない器具を取り除く治療を行います。
今回供覧する症例は、まさにそのような症例です。
↑初診時
根管治療を進めていると突然銀色に光る物体が!?現れました。
よ~く見ると真っ直ぐではなく、真横から突き出ているような・・・・。
もしかしたらと思い、右側の根管から薬液を流してみると左側に交通しているのが分かりました。
そうなんです。
根管と根管をつなぐ道に折れた器具が食い込んでいるのです。このような真横のケースは私は初めてでしたが、焦らず騒がずファイル除去のスペシャリストに教えていただいた方法で慎重に進めると・・・・
反対側から曲がりくねった金属の物体が少しずつ出てきました。そして、最後に慎重に取り出すとこんな状態でした。
患者さんも自分の歯の中にこのような物が入っているとは驚きだったようです。
破折器具=全て悪
という訳ではないので誤解がないようにお願いしたいのですが、ただやはり周りにバイキン感染があるとなれば多少がんばってでも取らなければならないかも・・・・。
当クリニックでの破折器具の除去率は80%程度。全てが取れるわけではありませんが、一応除去率は高いほうだと思います。
自分自身も器具を折らないように努めながらも、もしもの時にはお役に立てるように研鑽を積みたいと思います。
そして、患者さんに「根管の中に不安がいっぱい」と思われないような精密で安心・安全な治療を行っていきたいと思います。